ドル円相場の変更

   三井住友アセット  市川氏 レポート


2017年の予想レンジを従来の1ドル=112円〜122円から1ドル=108円〜118円へ修正する。 

日米首脳会談が無事終了ならいったんドル高・円安も、米予算教書などを控え値幅は限定的 に。 

財政支出が中立規模ならドル円は春先に円高の可能性、ただ着実な財政執行はドル高を支援。

弊社は2月7日付けでドル円相場の見通しを更新し、2017年の年間レンジについて、従来の1ドル=112円 〜122円から1ドル=108円〜118円へ修正しました。トランプ米大統領が就任以降、為替を含む通商政策で 強気の姿勢を示している一方、依然として経済政策の概要が明らかになっていないことなどを勘案し、やや円高 方向のリスクを見通しに反映させました。

ただ米国経済に対する基本的な見方は変えておらず、2017年は2回の利上げと2.4%程度の底堅い成長を 見込んでいます。ここ3カ月程のドル円相場の動きを振り返ると、ドル円米大統領選挙後の2016年11月9日 に101円20銭水準をつけた後、トランプ政策への「期待」から大幅なドル高・円安が進行し、2016年12月15 日には118円66銭水準に達しました。ただ年明け以降は「期待」が一服し、緩やかなドル安・円高が進行してい ます。
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日米首脳会談が無事終了ならいったんドル高・円安も、米予算教書などを控え値幅は限定的

2016年11月から直近までのドル円の動きをフィボナッチ・リトレースメントで示したものが図表1です。トランプ政 策への「期待」の変化をフィボナッチ・リトレースメントに当てはめると次のように解釈できます。すなわち「期待」が半 減すれば50%押しの109円93銭近辺(約110円)、さらに後退すれば61.8%押しの107円87銭(約 108円)というように、「期待」の後退度合いに応じてドル安・円高が進むとみることができます。

目先の重要イベントは2月10日の日米首脳会談ですが、2月7日付レポート「日米首脳会談の注目ポイント」 でお話しした通り、米国が為替相場に言及する必要性は低いと思われます。会談が波乱なく終了し、相場がド ル高・円安に振れる展開も期待されますが、2月28日にトランプ米大統領の米上下両院合同本会議での演説 が控えており、また3月には予算教書が予定されているため、ドル高・円安の動きは限定的になると思われます。

財政支出が中立規模ならドル円は春先に円高の可能性、ただ着実な財政執行はドル高を支援